4. 使用素材について

 

ガムプリントは写真の印画法の中でも、最もシンプルな部類に入る。主要な素材は紙と顔料とアラビアゴムで、感光化するために使用する薬品はひとつだけである。現像は水でおこなう。今回のプリント制作では、できる限り野島康三のガムプリント作品に近づけることを目的に使用素材を選んだ。

 

 

アラビアゴム溶液 すぐ腐る。要冷蔵。

 

支持体: MBM紙(木炭デッサン紙)

 

野島康三のいくつかのガムプリント作品と同様のテクスチャ

顔料:ホルベイン透明水彩絵具

 

一般に販売されているチューブ入り水彩絵具は、粉末の顔料をアラビアゴムで練ったもの。粉末の顔料も使用できるが、チューブ入り水彩絵具を使うことで練る手間が省ける。顔料の種類により透明度や耐光性に差がある。透明度の低い顔料は連続した階調を作りにくい。

裏打ち:アルシュ水彩紙

木炭デッサン用紙は薄いため、補強のために裏に別紙を貼る。野島は局紙かケント紙のような紙を使っている。(参照)

その他の素材

アラビアゴム

これは固形。粉末のものが使いやすい。

顔料を支持体に固定するバインダー

重クロム酸カリウム

劇物。管理・取扱いには注意。

コロイド状の物質に添加すると、紫外線に対する感光性(硬化作用)を持たせることができる

ゼラチン

これは粒膠。粉末が使いやすい。

紙のサイジング(にじみ止め)

麩のり

裏打ち用。表具などに用いる糊。鍋で煮てから使う。すぐ腐る。