余った黄身の利用について

 

鶏卵紙は卵白しか使わないので卵黄が余る。卵黄の利用法としては焼き菓子などが思い浮かぶが、他にも素材の性質を活かした使い方がいろいろある。

 

卵黄には乳化作用があるため、料理のソースに使うことが多い。もっとも一般的なのはマヨネーズ。卵黄に少しずつオイルを垂らして乳化させていくと簡単にできる。あせるとうまく乳化せずに分離してしまう。いちど分離すると救済できないので、あせらずじっくりオイルを加えていくことが大事。

 

マヨネーズは自作すると市販のものがまったく物足りなくなるほどおいしく作れるが、もっとおすすめなのはアイオリソース。基本的にマヨネーズと作り方は同じだが、すりおろしたニンニクが少し入る。このアイオリソースと魚介のスープとの相性は全くすばらしい。魚介のスープ+サフラン+アイオリソース。ああ、夢のようだ。アリオリソースのないブイヤベースは考えられない。若い苦みのあるフレッシュなオリーブオイルで作るのがおすすめ。

 

卵黄の乳化作用を使った和食のソースは練り味噌。これも素晴らしい。例えば味噌味の鍋をつくるとき、単に下地のスープに味噌を溶くのではなく、練り味噌にしたものを溶かしながら食べるようにすると非常においしい。練り味噌がソースとして独立しているので素材の味がぼけない。牡蠣の土手鍋には必ず必要。練り味噌には味噌とみりんだけで卵黄を入れない作り方もあるが、断然卵黄入りのほうがおいしい。卵黄の乳化作用でソースとして良くまとまる。

 

卵黄には強い膜を形成する作用があるので、直火で焼く料理のつや出しにも使われる。パンや焼き菓子、肉や魚の漬け焼きなど。

 

テンペラ画は卵黄の乳化作用と皮膜作用を利用した絵画法。非常に古くからある絵画法で、油絵の具が発明されるまでヨーロッパでは主流の技法だった。
卵黄に粉末顔料を混ぜ合わせて絵を描く。卵黄がオイルや水分もまとめることができるので、優れた絵の具ができる。エマルジョンにニカワを使った絵の具はヒビや剥落を生じるが、テンペラは保存性が非常に優れている。

 

そして、写真にこだわりたければ卵黄を使うオルタナティブ・プロセスもある。テンペラプリント
銀塩を使う鶏卵紙とは異なり、テンペラプリントは顔料で画像を形成する。
ガムプリント、カーボンプリントなどと同様のダイクロメイト・コロイドの一種。
完成したプリントは、テンペラ画とほぼ同じ組成になる。