基本のレシピ

もっとも少ない材料で作る基本のレシピ

 

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■主な材料

  • 卵 10個パック
  • 食塩
  • 硝酸銀
  • 印画紙用定着液(もしくはチオ硫酸ナトリウム)

 


■作り方

1) 卵白液の準備

    • 卵白(300cc)約10個 あまり新しすぎないものが使いやすい。
    • 食塩 9g
    • 酢 1~2cc

 

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使用するのは卵白だけなので、黄身と白身を分ける。残った卵黄は料理に使おう。卵黄を使う写真技法もあるので挑戦してみてもいい。Mサイズの卵10個で約300ccの卵白が用意できる。卵はあまり鮮度が良いと卵白が硬いので、採卵から1週間程度過ぎたものの方が使いやすい。もっとも、泡が消えにくいだけで、新しい卵でできないわけではない。

 

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食塩9gを加える。普通に手に入る食用の塩で問題ない。酢を1~2cc加える。食用の酢でかまわない。レモン汁でもいい。塩は硝酸銀と反応させて感光性を持たせるために、酢は卵白液を安定させるために加える。

 

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泡立て器で泡立てる。要はメレンゲの作り方と同じだが、泡の角が立たなくなるまで撹拌する。卵の状態にもよるが、電動の泡立て器で30分くらい。水分が分離して泡がぼそぼそし始めればOK。

 

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放置する。泡が消えるまでラップをかけて放置する。泡がほとんどなくなり、さらさらの液状になる。状態によるが、20分から数時間放置する。

 

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漉すガーゼなどで漉して、残った不純物を取り除く。キッチンネットを2重にしたもので漉してもいい。

 

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完成した卵白液はすぐに使える。

数日から1週間程度エージングするとさらに使いやすくなる。卵白液は、よほど腐敗しないかぎり数ヶ月は使える。

液の保存についてはこちらを参照

 

2) コーティング

バットなどを使ってプリントに使用する紙を卵白液に1分程度浸す。

 

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引き上げて液を切って乾燥させる。紙の表面に泡が残ると画像に影響が出るので、ティッシュペーパーの角などで取り除く。垂れてくる液もこまめに吸い取る。

 

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乾燥すればコーティング完了。この状態で数日保存可能。密封して冷蔵、冷凍すればさらに長期間保存できる。

 

3) 硝酸銀溶液の準備

 

      • 硝酸銀 15g
      • 蒸留水 100cc

硝酸銀を水に溶かす。

硝酸銀溶液に使う水は、薬局などで売っている精製水や逆浸透膜濾過水が好ましい。一部のスーパーではサービスで逆浸透膜濾過水を無料提供している。

硝酸銀が手や衣服に付着すると黒ずんでなかなか落ちないので、硝酸銀や溶液を扱う時は手袋や作業着を着用する。

硝酸銀溶液には感光性はないので、明室で取り扱いできる。ただ、保存は遮光できる容器が望ましい。

 

4)プリント用ネガの準備

 

鶏卵紙はネガと印画紙を合わせて露光する密着プリントなので、出来上がりの画像と同じ大きさのネガが必要になる。

写真にこだわらなければ、薄紙に描いた絵でも植物標本でもそのシルエットを焼き付けることができる。

ネガとプリントは、明暗と左右が反転する。

ネガの作成についてはこちらを参照

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5) 印画紙の感光化

卵白液を塗布して乾燥した紙に硝酸銀溶液を塗ると、硝酸銀が塩分と反応して感光性を帯びるようになる。ただ感光化しても印画紙の感度は非常に低いので、暗室を用意する必要は無い。弱めの電球光の下で作業できる。
 

硝酸銀溶液の塗布の方法は、あまりムラにならなければどう塗ってもいい。刷毛で塗る場合は、均一になるように縦と横に数度往復させる。紙の上に硝酸銀溶液を垂らし、ガラス棒で延ばすロッドコーティングも可能。また、雁皮紙のような薄い紙の場合は、バットに硝酸銀溶液を入れて、液面に紙を浮かせるようにして染み込ませることもできる。塗布の回数は紙の質にもよるが、だいたい2回。1回目を塗って、表面に濡れた感じが無くなれば2回目を塗っていい。一回ごとに完全に乾燥させる必要は無い。
テストプリントをしてみて、黒の締まりが悪ければ塗布回数を増やす。
 

硝酸銀溶液の塗布量も回数と同様に、紙によるので一概には決定できない。溜まりが出来ない程度にたっぷり塗るのがいい。事前に水を使ってテストして、一回の塗布に必要な液量を決めておくと失敗がない。液量の計測はスポイトを使うと作業がしやすい。
紙の乾燥にはドライヤーを使用できるが、紙の温度があまり高くならないように注意する。

 

 

◉オルタナティブ・プロセスは基本的に手作業で薬剤を紙に塗布する。塗布の仕方によってその他の処理が変わるので、一定の状態を再現できるように塗布方法を安定させる必要がある。

とはいえ、鶏卵紙はさほど塗りムラが目立たない。

一般的な塗布方法が以下のサイトで紹介されている。

Coating paper by floating, rod or brush

上から順に

      • 紙を液に浮かせる
      • コーティング・ロッドを使う
      • スポンジブラシを使う
      • 刷毛を使う

鶏卵紙の場合は、卵白液、硝酸銀溶液のいずれもどの方法で塗布してもかまわない。紙の厚さなどによって作業しやすい方法を選択する。ブラシや刷毛は、水の含み具合によって塗布量が大きく変わるので注意する。いちど水に浸して、しっかり水分を切ってから使うようにする。慣れれば、ロッド・コーティングが最も均質に塗布できる。

 

6) 露光

感光化した印画紙にネガを密着させ、露光して画像を焼き付ける。

      • 焼き枠

        印画紙とネガを密着させるには、額縁などを利用するといい。厚めのガラス、ウレタンスポンジ、板、ゴムバンドなどを利用して簡単な焼き枠を自作すると、ネガと印画紙の密着度が上がる。大気圧で密着させるバキュームフレームも比較的簡単に自作できる。

        ◉焼き枠の自作例

        裏の押さえ板の一部が開くようになっているのは、露光の進み具合を途中で確認できるようにするため。

        ここまで簡単なものでも十分用は足りる。クリップの代わりにゴムバンドでもOK。ちなみにこの焼き枠は、複数回の重ね焼きに役立つレジスト機能付き。

         

        ◉バキュームフレームを自作する場合は、だいたい次のようなものができればいい。

         

        ・作り方

        ベースになるゴムシートに穴を開けて排気用のチューブを取り付ける。

        ゴムシートを土台になる板や枠に固定する。

        ベースのゴムシートにシール用のクロロプレンゴムを接着する。支持体の紙とネガを置くエリアを囲むように、空気が漏れないように接着する。

        カバーになるガラス板を用意する。ガラス面とシールが密着するように押さえる仕組みを工夫する。

        チューブを真空ポンプにつなげば完成。真空ポンプは、減圧性能よりも吸気量が大きいもののほうがいい。

 

      • 光源

鶏卵紙は近紫外線域に感度のピークがあるため、露光に使う光源は近紫外線を含むものが効率がいい。太陽光、紫外線蛍光ランプ、メタルハライド・ランプなど。ただ効率は落ちるが、電球でもプリントできる。その場合は写真用のアイランプなどを使う。

(紫外線蛍光ランプとは、ケミカルランプやブラックライトなど。)

 

      • 露光時間

露光時間はテストプリントで決定する。テストプリントを現像してみて時間を決定すると確実だが、太陽光の場合は光の状態が変化するため、厳密に決定することはできない。その場合、鶏卵紙は焼き付けが進むと暗褐色の画像が出てくるので、その状態を確認しながら露光することができる。そのため伝統的な焼き枠は、裏から半分だけ開くように作られていて焼き付けの具合を確認できるようになっている。露光時間は、基本的には画像の暗部が完全に締まるまでの時間で決定する。

 

      • 光源による露光時間の目安
      • 太陽光:春や秋の薄曇りの日中で4分〜5分
      • 紫外線蛍光ランプ:10cm程度まで近づけて4分〜5分
      • アイランプ:500Wランプを30㎝程度の距離からあてて10分ほど
  • 現像

流水で約1分。バットに露光済みの印画紙を入れて流水で水洗する。印画紙から白濁した液が出なくなるまで。

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  • 定着

硬膜作用のない印画紙用定着液で約5分(定着液の指定による)市販の定着液を使用せずに、チオ硫酸ナトリウム200gを水800ccに溶解した定着液も使用できる。その場合の処理時間は約10分。露光した印画紙を水洗し定着液で処理をすると、濃度が下がり画像が薄くなる。しかし乾燥後にある程度、元の濃度に戻る。

  • 水洗

流水で30分程度水洗する。水洗促進剤で処理してもいい。

  • 乾燥して完成

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鶏卵紙は比較的退色しやすいため、保存性を高める処理をする仕上げのオプションはこちらを参照