鶏卵紙のレシピ:Albumen Print Recipes

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the residence of William Henry Fox Talbot albumen print/ 鶏卵紙 Kenshi Daito 2012

 

戦後から現在にいたるまで、日本では写真に絵画的な美しさを求めることは、まじめなことではないと支配的に信じられてきた。そのため、明治から大正にかかる一時期に、非常に優れたオルタナティブ・プロセスの作品を多くの日本人写真家達が作っていたことは、なかば意図的に忘れ去られ、いまなお正当な評価を得られていない。
(参照:野島康三の時代のガムプリント
 
オルタナティブ・プロセスは古典技法を用いるハイブリットな写真表現だが、単にノスタルジックな雰囲気を演出するものではない。それが、歴史的なバックグラウンドに立脚しつつ自由な表現を追求できるものであることは、日本ではほとんど理解されていない。そのため日本には現在、作品のクオリティを追求できるオルタナティブ・プロセスの技法解説は全く見当たらない。そこでここでは、作品としてのクオリティ追求を前提にしたオルタナティブ・プロセスの解説を試みたい。
 
鶏卵紙は、数多くの古典技法のなかでも特に成功した技法だった。それは美しい印画を簡単な手順で作ることができたからだ。卵白が紙の上に作る絵肌(マチエール)には、デジタルプリントやゼラチンシルバー印画紙では得られない美しさがある。手漉き和紙を用いれば、完全なハンドメイドのプリントを作ることができる。